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【HQ】春が始まる。(烏野逆ハー)

第1章 出会い



自分のクラスを確認し、指定された席に座る。
そわそわ落ち着かなくて、教室の中を見渡していると、こちらに向かってくる一人の男子と目があった。


その男子は人懐っこい笑顔を浮かべて、私の隣の席の椅子を引いた。


「初めまして!俺の席、ここだー!」


「は、初めまして!」


急いで名簿で名前を確認する。
ええと、ひなた…


「俺、日向翔陽。よろしくな!」


「私は水沢菜月。よろしくね、日向くん。」


太陽みたいに明るい雰囲気の彼は、緊張していた私の心にもじんわりと陽の光を当てたように和ませてくれた。


「あーっはやくホームルームおわんねーかなーっ!ウズウズする!!」


「何か楽しみなことでもあるの?」


「うん!俺さ、早くバレー部の練習に参加したくて!」


クリスマスにサンタさんを待つ子供のようにキラキラ目を輝かせながら言う日向くんは眩しかった。



「水沢さんは?もう部活決めた?!」


「ええっ!ううん、まだ。だって今日入学式だよ?」


「あーそっかあ、そうだよな。」


「でも、私もバレー見るのは好きだよ。」


「えっそうなの!!!」



一気に顔を近づけてきた日向くんにドギマギしながらも、近い近いと笑いながら制して続ける。



「うん、小さい頃から日本の試合はテレビで見てるよー春高バレーも好き。」


「へええー!じゃあさ、なんでバレー部入らないの?」


「んー、運動あまり得意じゃないし。見る方専門って感じだからかな?」


「ふーん………じゃあさ!!!」



名案を思いついたとばかりに机に手をついてたちあがる日向くん。
クラスメイトが驚いて私達の方をちらちらと窺っている。



「放課後、俺とバレー部いこう!!」


「へっ…?いや、私女子だし…運動苦手って…」


「マネージャーだよマネージャー!バレーみるの好きなんでしょ?もったいないよ!」



な、なんでこんな展開に…
そう焦っていると担任の先生が入ってきて、静かにしろーと手を叩いている。
もう今は断れそうもない。



諦めて前に向き直ろうとした時、隣から「約束な!」って無邪気な声がした。


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