第7章 東京遠征
「フルコンだー………!」
「この曲、慣れてるからね…」
涼しい顔でそう言われた。
その直後、研磨くんを呼ぶ声が廊下に響く。
「おーい研磨!」
研磨くんが立ち上がらないので私が見に行くと、そこには黒尾さんがいた。
「あ、黒尾さん。研磨くんならここにいますよ。」
「なんだ、お前と一緒にいたのか。じゃんけんで負けて買い出し行ったきり帰ってこねえからよ。」
「え、そうだったんですか…!」
思わず研磨くんの方を振り返る。
「ごめんね、呼び止めちゃって。私が引き止めたから戻るに戻れなかったんだと思います。」
黒尾さんにもフォローを入れておいた。
「ふーん……でもこいつと話すの初めてなんだよな?」
「そうですけど…」
「研磨が初対面のやつ…しかも女子とこんなに仲良さそうにするなんてな。」
「…………クロ。」
黒尾さんの言葉に、研磨くんが咎めるような視線を向けた。