第7章 東京遠征
その日の練習を無事に終え、部屋まで向かっているところで、音駒のプリン頭の子とすれ違った。
彼はスマホで何やらゲームをしながら歩いていた。
別に覗くつもりはなかったのだけど、すれ違う瞬間に画面が少し見えてしまう。
そこに映る画面は、私のよく知るものだった。
「あー!!!」
私の大声に驚いたのか、恐る恐るといった様子でこちらを振り返る彼。
「このゲーム、私もやってる!!」
そのゲームは、スマホアプリの中でも大人気なリズムゲームだった。
人気らしいのだけど、実際に周りでやっている人を見たことがなかったのでつい興奮してしまう。
目の前の彼は、何だか怯えているような様子だ。
人見知りなのかもしれない。
「音駒の研磨くん…だよね?日向くんと仲良いから名前覚えてたんだ。」
「……ああ……うん。」
「そのゲーム、今ランクいくつ?私、全然クリアできない曲があってー…」