第7章 東京遠征
練習が始まってから分かったことなのだけど、赤葦さんのポジションはセッターだった。
私はセッターの人と何だか縁があるのかもしれない。
私は、梟谷の練習するコートを覗き見ながら、先ほど赤葦さんの顔を見た時に感じた気持ちについて考えていた。
何だか、過去にどこかで会ったような気がした。
だから見つめてしまったし、呼び止めてまで名前を聞きたくなってしまったのだ。
でも、名前を聞いたけれど特に思い当たるようなこともなかった。
何なんだろう……
軽やかにトスを上げる赤葦さんをまた盗み見ようとしたところで、頭を物凄い握力で掴まれた。
「またよそ見してんのか、お前は…!」
「痛い痛い痛い痛い…!暴力反対!!」
「何であっち見てるんだよ?!」
気付かれないように見ていたつもりでも、やっぱりバレてしまった。
目ざとく見つけた影山くんに怒られる。
「いや……何かね、あっちのセッターの人にさっき落としたハンカチ拾ってもらったんだけど。あの人の顔に何か見覚えがあるんだよ。」
「あ?!セッター!?」
セッターという単語に反応し、影山くんに火がついてしまう。
そこに、話を聞いていたらしい武田先生が火に油を注ぐような一言を発した。