第7章 東京遠征
黒尾さんと会話しながら歩いていたら、あっという間に目的地に到着した。
ここに、関東の強豪校が集まっているんだ…!
建物に足を踏み入れると、背の高い男の人だらけで思わずキョロキョロしてしまう。
そんな風にフラフラしながら歩いていると、ふいに後ろから声をかけられた。
「あの、落ちましたよ。」
振り返ると、これまた背の高い男の人が私のハンカチを持っていた。
彼が持っている手元のハンカチから視線を上げ、お礼を言おうとその顔を確認する。
え…………
「……………」
「あの…俺の顔に何かついてますか…?」
彼の顔を凝視してしまっていたので、そう尋ねられてしまった。
「あ、ごめんなさい…!」
駆け寄って彼からハンカチを受け取った。
「ありがとうございました、これ気に入ってるハンカチだったので拾ってもらえて良かったです…!」
そう伝えると、目の前の彼は優しく微笑んでくれた。
そして踵を返して行ってしまいそうになったので、慌てて呼び止める。
「あ、あの。お名前聞いてもいいですか…?」
「梟谷2年の赤葦京治です。君は?」
「烏野1年の水沢菜月です。」
「これからよろしくお願いしますね。水沢さん。」
そう言って、今度こそ赤葦さんは去っていった。
何てスマートな人なの……
その背中が見えなくなるまで、つい見つめ続けてしまう。
完全にその姿が見えなくなってから、私は皆の元へと急いだ。