第6章 再起
「ん、どこが分かんないんだ?」
快く対応する菅原先輩に、西谷先輩は国語の小テストらしきものを取り出して渡している。
一瞬目に入った解答欄の内容を見て、私はつい声を上げて笑ってしまった。
問題分に登場する主人公、紀男の心情を表す箇所を文中から抜き出しなさいという問題。
それに対する西谷先輩の解答。
もっと男らしく生きろ、紀男!!!
解答欄いっぱいに大きく、はみ出さんばかりの文字で。
「これ西谷先輩の感想じゃないですかー!」
「紀男があまりにもだらしねえから俺がひとこと言ってやろうと思ったんだよ!」
「問題無視してまで物申すなよ西谷…」
西谷先輩の返答に若干呆れながらも、菅原先輩はバツがついている箇所の説明を始める。
相変わらずの分かりやすい説明に、何だか惚れ惚れしてしまう。
西谷先輩も目を輝かせていた。
「ス、スガさーん…!数学も!数学もお願いします!」
「分かった分かった。とことん付き合ってやるから、そこ座りな?」
西谷先輩はこれで何とかなりそうな気がしてきた。