第6章 再起
「こんなに暑くなってきても冷えて寒いんだな…女子はほんと、大変だ。」
「そう思ってもらえるだけで皆喜ぶと思いますよ。病気じゃないんだからとか言う人もいるみたいですし。」
先輩はやっぱり優しいですね。
そう伝えると、先輩は照れたように笑った。
「他の女子にはこんなに優しくないんだからな?菜月だからだよ。」
そんなことを言われたら、通常より多く出血してしまいそうになる。
先輩の彼女になったら本当に大切にしてもらえるんだろうな。
目の前の先輩を見て、改めてそう感じる。
ぼーっと先輩を見ていると、先輩はまっすぐ私の瞳を見つめ返してきた。
そして、私の右手を取って言う。
「少しの間だけでも、あっためさせて?」
「えっ…」
「…って、ごめん。言い訳だな。俺が菜月に触りたいだけ。いい?」
私は菅原先輩の笑顔に弱い。
嫌だなんて言えるわけがなくて、ただ頷いた。
触れ合った手の感触に、温かさだけでなく安心まで感じる。
真綿で包まれるような感覚に、私はしばし痛みを忘れるのだった。