第6章 再起
結局、いつもの通り駅まで先輩と二人きりだ。
店を出て歩き始めたところで気付く。
先輩はいつもより更に歩くスピードを遅くしてくれていた。
そして心配そうに聞いてくる。
「大丈夫か?荷物、持とうか?」
「あ、いや…そんな気にしないでください。恥ずかしいです…」
そう言うと先輩はまた顔を赤くして謝ってくる。
「あ、ご、ごめん…。うち、母親が結構重い方で毎月しんどい思いしてるみたいだから菜月もそうなのかなと思って…。」
恥ずかしいけど、気遣ってもらえて嬉しい。
そういう方向に気が回るのがいかにも菅原先輩らしいなあと私は思ってしまう。
「痛いとか辛いとかって個人の感じ方で比較できないですからね…。まあでも、私は普通か軽い方なんじゃないかと思います。」
「そうなの?……あんまり無理するなよ。…っていうか、男にこういうとこ踏み込まれたくなかったよな、悪い。」
そう言って先輩は俯いてしまう。