第6章 再起
と、その時。
突如として体を走り抜ける悪寒と下腹部を締め付けられるような鈍痛を感じた。
瞬時に思い当たる。
月のものが来た。
カゴを一旦置いて、お手洗いに急ぐ。
確認すると、やはり思った通りだった。
ケガも生理も、ひとたび確認すると余計に痛みや辛さが増す気がするのは何故だろう。
それに私の場合、季節を問わず初日はガタガタ震えてしまうぐらい冷えるのだ。
実際、もうじわじわ暑くなってきているこの初夏の空気でさえ簡単に凌駕してしまうほどの寒さを今私は味わっている。
お手洗いから出てきた私の様子を見て、西谷先輩が再び声をかけてきた。
「どうした?何か顔青ざめてるぞ。」
「あー、その…ちょっと寒くて……」
「寒い?!こんな蒸し暑いのにか?熱でもあるんじゃねえの?」
「それはないんで大丈夫です…。」
「でも、何か震えてるじゃねえか…」
西谷先輩は私の顔を覗き込んたあと、自分のカバンを探ってくしゃくしゃになったジャージの上着を差し出してきた。
「なんかよくわかんねえけど、寒いならこれ着てろ!少しはマシになんだろ。」
「あ…ありがとうございます…」