第6章 再起
「…笑えよ。」
「え?」
「気ばっか遣ってないで笑えよ。それ、欲しかったんだろうが。」
その言葉を聞いて、思わず笑顔がこぼれた。
「うん、ほんとにありがとう影山くん!!」
これ、どうしても欲しかったんだーと言いながら台紙を天井にかざしていると、私に一歩近付いた影山くんが頭にぽんと手を置いてくる。
そして、優しく髪を撫でられた。
菅原先輩にはよくされる行為だけど、影山くんにされるのは初めてだった。
触れ方がソフトで、まるでいつもの影山くんじゃないかのようで、私は途端に緊張する。
私が赤い顔で見つめているのに気付いたのか、影山くんはハッとしたように手を引っ込めた。
「うるせえな…」
「え、なんにも言ってないけど…」
「視線がうるせえんだよ!こっち見んな!!」
俺のことを見てないと気がすまないと言ったかと思えば、こっちを見るなと言う時もある。
少し混乱するけど、今は影山くんが照れているのが分かるから。
何だか可愛く思えて、からかいたくなってくる。
わざとじっと見つめてやることにした。