第6章 再起
そわそわしていたら、いつの間にか隣に来ていた影山くんに頭を掴まれて怒鳴られた。
「ふわふわしてんじゃねえよ!あっち見んなこのボケ!」
「やだー!今見とかなきゃもう一生実物は見られないよ絶対!」
「テレビでだけ見とけ!」
「芸能人にまで嫉妬とか器小さすぎでしょ王様。」
「うるせえな!!」
月島くんの言葉に一言返したあとで、影山くんはまた私に向き直る。
「今日のスパイク練習は俺も打ってやる。ストレートもクロスもライン際ぎりぎりいっぱいのとこ狙ってお前をあっと言わせてやるからな!よく見とけ!」
「お前のハートも撃ちぬいてやるってか?やるな、影山くん。」
田中先輩に茶化され、影山くんは顔を赤くする。
私までドキッとしてしまった。
「なになに?青春って感じでいいね君たち!」
近付いてきた番組ディレクターっぽい人に早速目をつけられてしまった。
「君、こいつのファンなの?」
「え、は、はい…」
「そうかー。じゃあほら、握手でもしてやんなよ。」
声をかけてきた人が、俳優の彼に言う。
いや、別にそんな、遠くから見てるだけで十分なのに…
そう思っている間に、彼は私の目の前まで来る。