第6章 再起
「烏養さんがやってるみたいにさ、思いっきりボールを俺に向けて打ってきて欲しいんだよね。」
「素人だから物凄い変なところ飛んじゃうかもよ?」
「そのほうが練習になるからいい!」
「そっかー、じゃあやろう!」
何回か日向くんに向けてボールを打ってみた。
やっぱり烏養さんがやるみたいにはうまくいかないな。
そう思うけど、日向くんはレシーブする度に、上手い上手い!とか声をかけてきてくれるので嬉しくなってしまう。
どちらが練習に付き合っているのかよく分からない構図になっていた。
調子に乗って、更に力を込めてボールを打ってみる。
すると、ボールは見当違いの方向に飛んでいってしまった。
さすがの日向くんでも取れなさそう……
と思っていたら。
そのボールは離れた位置に背を向けて座っていた影山くんの後頭部に直撃した。
「げっ………影山に当たった…」
「や、やばい…」
影山くんはゆっくり振り返って立ち上がり、こちらにやってくる。
「おい日向…何素人のマネージャー捕まえてまで練習してんだこのボケ!!!」
「お前だって菜月に朝練付き合ってもらってんだろ!なんで俺はダメなんだよ!」
二人はぎゃーぎゃー騒ぎ始める。
「ご、ごめんね影山くん…」
当てたのは私なので謝らなければ。
そう思い、影山くんに声をかけた。
「もっとコントロールうまくなれよ。」
そう言われたけど、別に私、プレーヤーじゃないしなあと思って苦笑する。