第6章 再起
そのあと、電車内や駅から月島家への道中でも、月島くんとは対象的に明るくよく話すお兄さんによって場は盛り上げられた。
でも、月島くんはいつも以上に口を開かず、会話しているのは常に私とお兄さんというような状態だった。
お兄さんと折り合い、悪いのかな…。
そう感じて、私は心配になってしまった。
月島くんのお兄さんは就職と同時に家を出たらしく、そんなに頻繁には家に帰らないらしい。
だからさっき、久しぶりって言っていたんだ…
「いらっしゃい!初めまして!」
そうこうしているうちに、あっという間に月島家に到着した。
とても感じの良いお母さんに挨拶され、私も弾かれたように頭を下げた。
「こ、こんばんは。初めまして!水沢菜月と申します。突然お邪魔してすみません…」
「あらいいのよ。それよりいつも蛍がお世話になって…」
「いえ、お世話になってるのは私の方なので…」
お兄さんにした返答と同じ言葉を返した。
いつもお世話になってるのは、本当に私の方だ。
私自身は月島くんに何も返せていない。