第6章 再起
到着した会場には、もう既にたくさんの人が溢れていて、物凄い熱気だった。
会場の広さと人の多さが気持ちを盛り上げる。
「わー…広い…すごーい…!」
「菜月の話すことってほんと小学生みたいだよね…日記とか書いてるなら見てみたいよ。現役小学生といい勝負なんじゃない?」
「あはは…反論できない。ボキャブラリー少ないですから…」
「語彙力がないってのとはまた違うと思うんだよね…。なんていうか、思ったことがそのまま口に出ちゃうんでしょ。良く言えば素直ってこと。悪く言えば単純。」
「だってさー、こんな大きい会場でライブ観るのなんて初めてなんだよ!興奮するよねそりゃあ。」
二人でチケットに記載されている指定の席についたところで、月島くんがこちらを見つめてくる。
「…楽しい?」
「うん、すごく!始まったらもっと楽しいよね!!」
「…そう。」
表情を少し柔らかくして、月島くんは短くそう言った。
そして、しばらくすると会場の照明が落とされ、周りの人たちが歓声を上げて立ち上がった。
始まる…!
会場内の光がすべて、ステージに集まる。
メンバーが出てくると同時に物凄い重低音が響き、それが私の鼓膜を揺らした。
これがライブなんだ…!
そう思ったのを最後に、私は完全に音楽の世界に飲み込まれ、ライブが終わるまで夢中になってステージに視線を送ったのだった。