第6章 再起
「さすが月島くんだねー…!」
「…別に、あのくらいの英語、授業で習う範囲内のものでしょ。」
「そうかもしれないけど…私なら例え英語が話せても説明できないだろうなと思って。」
「…ああ。方向音痴だから?」
「そうそう。説明じゃなくて着いてってあげるとかしかできないかな。」
「でも、今みたいによく声かけられるんじゃない?道教えてほしいとか言われてさ。」
確かにそうなのだ。
聞かれても上手く答えられないから逆に申し訳なくなるのだけど、私はそういうことでよく人に呼び止められる。
「うん、よくある。…でも、なんでわかったの?」
「別に…なんとなく。」
行くよ、と言って月島くんはまた歩き出す。
私はまだまだ今の件について話し足りなかったけど、月島くんにとっては特に大したことではなかったようなのでそこまでにすることにした。
それでも頭の中はさっきの流暢な英語のことでいっぱいで、私は改めて月島くんのことをすごいなと思うのだった。