第6章 再起
会場までの道を歩いていると、突然、後方から服の裾を引かれた。
驚いて後ろを振り返ると、そこには小さな外人の女の子が。
その目には涙が光っていて、もう明らかに迷子なのだなと聞かなくても分かった。
案の定、英語で迷子になったという内容の言葉を呟いているようだ。
駅への道を教えてほしいらしい。
私は困り果ててしまう。
かろうじて、この子が何を言っているのかは分かるものの、道を説明なんて方向音痴な私には日本語ですら難しいというのに。
思わず、困り顔を月島くんに向けてしまう。
そんな私の表情を見て、軽く息を吐いた月島くんは、女の子に流暢な英語で話しかけた。
「え…!!!」
そして、私が驚いている間に女の子に道を説明し終えたらしい。
女の子は泣き止み、笑顔を取り戻すまでになっていた。
言葉の通じない国で迷子になるなんて、さぞ心細かったことだろう。
そこに、自分の言葉が通じる人が現れたらどれだけ安心したことか。
月島くんに教えられた道を走っていく女の子を見て、私までほっとした。