第6章 再起
柔らかいケーキにフォークを入れる。
形が崩れていくのが本当にもったいなく感じてしまう。
「そんなケーキ入刀みたいに丁寧にやらなくても…」
「だってなんかもったいないんだもんー」
ゆっくりケーキを口に運ぶ。
口に入れた瞬間に分かった。
このケーキ、物凄くおいしい。
甘い香りが鼻に抜けて、思わず身震いする。
「おいしいー…」
少しずつ咀嚼していると、目の前の月島くんが軽く吹き出した。
「何その顔。」
「え。」
影山くんにも、食べているときに間抜け面をさらしていると指摘されたけど、今も気を抜いてその顔をしてしまっていたらしい。
恥ずかしい…
「ほら、どんどん食べなよ。パフェも溶けるよ?」
「あ、そうだった!」
月島くんの言葉でパフェのことを思いだした私は、今度は急いでスプーンを手にする。
そんな私の様子を見て、月島くんはまた笑ってくれた。
何だか月島くんが笑ってくれると無性に嬉しい。
笑顔を引き出すためなら色々頑張ってみようかなと思わせる。