第6章 再起

その淡白な返事がいかにも月島くんらしくて、私はまた笑ってしまう。



「ね、月島くん。これ一緒に食べようよ！」



「……まさか、最初からそのつもりで頼んだわけ？」



「さ、さあ…それはどうでしょう…」



そうだと言ったら怒られるかなと思ったので、私は返事を濁してしまう。



一口食べたら気分も変わるかなと思い、私はフォークでケーキを刺して月島くんの口元へ持って行った。



「はい、どうぞ。」



「やめなよ恥ずかしい…自分で食べるから。」



そう言って月島くんは私からフォークを奪うと、自らケーキを口に運んだ。



「どう？どう？」



「別に菜月が作ったわけでもないのに何でそんなに真剣なのさ…」



「だって！」



月島くんの「おいしい」が聞いてみたかったから。



「ん……おいしいよ。菜月も食べたら。」



そう言って月島くんは自分の使ったフォークをそのまま渡してくる。



これ、このまま使ったら間接キスになるな。



なんて恥ずかしく思ったけど、わざわざフォークを変えたりしたら気分を害するだろうし、思い切って自分も同じフォークで食べることにする。