第6章 再起
「ケーキとパフェって…。甘いもの好きでよく食べるとは聞いてたけど、さすがに食べすぎじゃない?」
そう月島くんがツッコんでくるけど、気にしない。
だって私一人で食べるつもりじゃないし。
でも、今それを言うと食べてもらえなくなりそうだから黙っておく。
「いいのいいの、これからライブで立ちっぱなしになるんだし!」
適当にごまかしてスイーツの到着を待った。
やがて運ばれてきたそれは、きらきら輝いていて、見るだけで私を幸せにする。
「ショートケーキってさ…なんでこんなに可愛いんだろうね…」
「は?」
私の呟きに、月島くんは意味がわからないというような表情を浮かべる。
「可愛いって…何それ。食べ物じゃん。」
「このイチゴの赤とクリームの白のコントラストっていうの?が素敵だよ…」
「…女子って何でもすぐに可愛いっていうよね…。」
呆れながら、月島くんはテーブルの隅からコーヒーに入れるシュガーとクリームを手にとった。
やっぱり入れるんだ!
それを見て私はつい、ニヤニヤしてしまう。
「………何。男のくせにブラックで飲まないのかって思ってるわけ?」
「そんなこと思わないよ!私だってブラックでなんか飲めないもん。むしろ、何か嬉しい。」
「嬉しい?」
「月島くんて何でも上手に、簡単そうにやるでしょ?私とは全然違うな、すごいなっていつも思ってるんだけど…そんな人とも共通点あるんだなって。」
そう伝えると、月島くんは私から視線を外してシュガーとクリームを入れたコーヒーをかき混ぜた。
「あ、そう…」