第6章 再起
そして、特に予定の調整をすることなく迎えた土曜日。
ライブを前に、私達は会場近くのカフェに入っていた。
今までプライベートでは影山くん、菅原先輩と待ち合わせをして二人とも時間に正確だったけど、月島くんもそれに関しては同じだった。
私より早く待ち合わせ場所に到着し、いつもと変わらぬアンニュイな表情を浮かべて立っている月島くんは、それだけで絵になっていた。
「ねえねえ月島くん、何食べる?」
ライブ前に少し腹ごしらえしたいと言ったら月島くんは、迷うことなくこのおしゃれなカフェに連れて来てくれた。
もともとこのお店を知っていたのか、それとも事前に調べたのか。
いずれにせよ、そのスマートな感じがとても月島くんらしかった。
私がメニューを見ながら尋ねると、月島くんは呟く。
「僕は別にコーヒーだけでいいよ。」
「ふーん、そっかあ。」
そう言いつつ、さっきから私が広げているメニューのケーキや、壁に貼られている新作スイーツのポスターをちらちら見ている気がする。
そういえば、前クッキーをあげた時、山口くんが月島くんは甘いものが好きだって言ってたっけ。
そう思いだした私は店員さんを捕まえて、コーヒーとケーキ、そしてパフェを注文した。