第6章 再起
部活中も、この件が頭から離れなくて元気が出ない。
皆が代わる代わるどうしたのかと聞いてくるけど、答えられる内容じゃないのでごまかすしかなかった。
そんな練習の途中、武田先生が体育館に姿を現した。
そして、私の表情を見て心配そうに聞いてくる。
「…何かあったのかい?」
大人の人に聞いてもらえば、少しは気持ちが楽になるかもしれない。
そう思い、私は武田先生に話を聞いてもらうことにした。
先生と体育館を出て、誰も使っていなかった進路指導室に入る。
そこで私は、具体的な人物名は出さずに今までの経緯を先生に説明し、自己嫌悪に陥っていることを話した。
「なるほど…。それは今、つらい状況だね。」
「はい…」
「水沢さん。さっき君は、出会う場所や順番が違っていたら結果は変わっていたかもしれないと言ったよね。」
私は頷いた。
「でもね。これはあくまで僕の考え方だけど…それが人の縁っていうものなんだと思うよ。人生において必ず自分にとって必要な人とは適切な時期に出会うように出来ている。」
「………」
「運命の出会いっていうのは確かにあるんだよ。これは僕の友人の話なんだけど…」