第6章 再起
次の日。
教室で会った友人に昨日のことを謝ろうとしたら、逆に彼女に頭を下げられてしまった。
「菜月ちゃん、昨日はごめんね!!」
「え?」
頭を下げたあと、再び顔を上げた彼女の目には涙が光っていた。
私は慌てて、彼女を人気のない廊下の隅へ連れ出す。
「私がお願いして一緒に来てもらったのに先に帰ったりして…本当にごめんね。」
「そんなこと気にしないで。それより私も…あんなことになって嫌な気持ちにさせたよね、ごめん。」
私が謝ると、彼女はふるふると首を横に振った。
「澤村先輩ってさ…菜月ちゃんのことが好きなんだね。」
「え?」
「私、昨日分かっちゃった。」
そう、困ったように笑ったあと、言葉を続ける。
「あんな優しい目、好きな子にしか向けられないよ。」
「…………」
「相手が菜月ちゃんなら納得だよ。今回は本当に色々ありがとう。また何かあったら相談させてね?」
いつもの笑顔を見せてから、私がろくな返事もできないうちに彼女は先に教室へと戻ってしまった。
…なんて良い子なんだろう。
私なんかよりずっと可愛くて、素敵な子だ。
出会う場所や順番が違っていたら、大地さんもあの子のことが好きになっていたかもしれない。
そう考えると、また更に苦しくなった。