第6章 再起
「あのね…この前、全校集会で総行会あったでしょ。その時に部長挨拶してたの見て、かっこいいなあって思って…。」
私が動画撮影をしくじった例の総行会である。
動画の編集も、結局清水先輩に手伝ってもらってしまったのであの件に関しては私は何一つ満足に仕事をした気がしなかった。
「あの時流れてた練習風景の動画あるでしょ?あれ、大地さんが撮ったんだよ!」
「え、そうなんだ。でも、自分も練習する側なのにどうして…」
「う……。そ、それは私があまりにもうまく撮れないから大地さんが代わりにやってくれて…」
「すごく、面倒見の良い人なんだね…!」
全く持ってその通りなのだけど、彼女はもう大地さんしか見えていない!という感じで、文字通り恋は盲目と言った様子だった。
それを見て、私は何だか羨ましくなってしまう。
どうしようもなく好きな人がいるって、いいなあ。
「それで、お願いって何?」
「あ…ええと、澤村先輩の好きなタイプ、探ってきてくれないかな?」
「ええ!い、いいけど…私、頭はたらかないからうまく聞き出せるかな…。」
「お願い!少しでも近付きたいの!」
最初はあまり気が進まなかったけど、目の前の恋に一生懸命な彼女を見て、私は心を動かされてしまう。
「うまくいかなかったらごめんだけど…やれるだけのことはしてみる!!」
「ありがとう菜月ちゃん〜!!」