第6章 再起
「彼氏じゃないなら俺だってお前と同じように手を出す権利があるはずだよ。…ま、精々頑張りなよ。」
そう言って及川さんは私達に背を向けた。
そのまま行ってしまうのかと思ったけど、最後にもう一度振り返って影山くんに一言。
「飛雄、先輩としてひとつだけ助言しておいてあげよう。」
「…?」
「女の子はソフトに扱わなきゃだめだよ。菜月ちゃんを俺のものにする前に、壊したりしないでよね。」
去っていく及川さんの後ろ姿を、二人で呆然と見つめていた。
先にフリーズを解いたのは影山くんだった。
「……おい。」
「え?」
「はやく俺をお前の彼氏にしろよ!!」
「なっ…何それ、この間気持ち固まるまで待ってくれるって…」
「彼氏じゃねえくせにって言われる度にすげえ腹立つんだよ!何とかしろ!!」
「そ、そんなこと言われてもー!」
気が付くと、また影山くんに追いかけられている。
私、影山くんには怒鳴られたり追いかけられたりしてばっかりだな…
でも、そんな関係性が心地よくて、追いかけられながらも私は笑顔がこぼれてしまうのだった。