第6章 再起
「……大丈夫?」
「うん、こうしてれば楽だから…。ありがとね、さっきも助かったよ。」
「ほんと、油断ならないんだから…勘弁してよね。」
「うん、ごめん…」
「水、飲む?」
「あ、ほしい。ありがとう。」
月島くんも、この間の体育倉庫の一件から私にとても優しい気がする。
彼に優しくされたりすると何だか調子が狂う。
「ねえ、さっきの歌さ。結局誰に向けて歌ってたの?」
月島くんにいきなりそんなことを聞かれて、思わず水を吹き出しそうになる。
咳き込みながら答える。
「別に、そういうんじゃないから…」
「ふうん…。さっきの曲、良いよね。よく聴いてる。」
「え、ほんとに!」
月島くんとCDをやり取りする中で、これまで私も数枚渡していたけれど、それの感想は今初めて聞いた。
何だか嬉しくなってしまう。
「でも僕は本物より菜月の歌声のほうが好きかな。また今度、僕のためだけに歌ってよね。」
「え…う、うん…!」