第6章 再起
「及川さん…!」
振り返ると、そこには及川さんの姿があった。
今、間違えて扉を開けてしまった時は焦っていて気づかなかったけれど、その部屋に及川さんがいたらしい。
何と言う偶然…
「なんだろこれ、運命かな。せっかくだからちょっと付き合ってよ。」
「え!私、みんなのところに戻らないと…」
「飛雄のところになんか返してやるもんか。どうせ烏野のメンツで来てるんでしょ?」
そう言って及川さんに半ば強制的に部屋に引きずり込まれた。
「おい、及川。何烏野のマネージャー拉致ってきてんだよ。」
「岩ちゃんも今見たでしょ?菜月ちゃんの方から俺のところにやって来たんじゃない。」
「明らかに部屋間違えただけだろうが!」
「ほらほら、そうやってすぐ怒鳴るのが良くないんだよ。女の子はそういうの嫌がるんだからさ。ね、菜月ちゃん。」
「あ、あはは…」
どうしよう。
いつまでも戻らなかったらさすがに皆心配するよね。
でも携帯も部屋に置いてきてるし…
そう考えていると、及川さんが私に歌える曲をしきりに聞いてくる。
今人気の女性歌手やアイドルの歌。
どれも歌えるものだったので適当に頷いていたら、及川さんはその中の1曲を選曲して送信してしまった。