第6章 再起
動揺していると、一番近くにいた西谷先輩が立ち上がって私の目の前にやってきた。
そして、私の両手を包む。
「菜月…。俺と付き合え。」
「ええ?!」
「お前も粋な告白してくれるよな!俺のリクエストでラブソングを歌うってのはそういうことだろ?気持ちはちゃんと伝わったぜ!」
「待てよ西谷。俺に歌ったのかもしれないだろー。」
菅原先輩がすかさず西谷先輩にツッコむ。
いや、そんなつもりで歌ったんじゃなかったんだけど…
そう思って焦っていると、影山くんと月島くんまでこの話に絡んでくる。
「当然、俺に向けて歌ったんだよな。」
「何でそんな自信満々なのさ王様…案外僕にかもしれないじゃん。」
「か、影山くん…この間からなんかおかしいよ?」
「ああ?!思ったこと言ってるだけだろうが!」
告白されてからというもの、影山くんは、先日目隠しをしてきたときのように他の人がいる前でも気持ちを隠すことがなくなった。
この前といい、今といい、あからさま過ぎて恥ずかしくなる。
以前とのギャップがあるから余計だ。
私はこの空気に耐えられなくなって、飲み物を取りに行くという口実で一旦部屋を抜け出すことにした。
部屋を出る直前、すぐに水を口にしたい衝動にかられたので烏養さんの前にあったグラスの水をいただくことにした。
「ごめんなさい、今烏養さんの分の飲み物も取ってくるんでこれ下さい!」
「あっ!バカ!お前それ…!!」
烏養さんが何か言っていたけど、そのままグラスの中身を一気に流し込んでから部屋を出た。
飲み下すときに、今飲んだものは水ではなかったらしいと気付くけどもう遅いし、どうでも良かった。