第5章 IH予選
放課後。
私は体育館へと足を向けていた。
今日は練習はないけれど、誰か来るかもしれないし、もしそうなら何か手伝いたかったからだ。
体育館内に入ると、そこには日向くんと影山くんがいた。
やっぱり。
休みと言われたからって素直に休むような人たちじゃないよね。
その姿を確認して私は嬉しくなった。
「あ…菜月!」
日向くんが私に気付く。
「やっぱり来てくれたんだ!」
「うん…何か落ち着かないし、できること無いかなって思って。」
「そっか!……3年生は来ないのかな…。」
「う、うん…どうだろうね…」
菅原先輩に関してはどうするのかをもう知っていたけど、こういう大事なことは本人の口から言ったほうが良いような気がしたので黙っておいた。
日向くんはやはりいつものような元気がない。
普段、太陽みたいに明るい彼だから、少しでもその表情に翳りが見られると途端に気になってしまう。
少なくとも私はそうだ。
3年生、全員揃って春高バレーまで残ってくれるといいんだけど…。