第5章 IH予選
IH予選での敗北を受けて、ショックを受けながらも、同時にとても気になっていることがあった。
それは3年生の進退だった。
昨日は皆ショックが大きく、誰もそのことを口にしないまま解散となった。
烏養さんも今日は練習を休みにすると言っていたし、チームがこれからどうなっていくのかは、まだはっきりしそうもなかった。
こればかりは考えても仕方ないことなのだけど、考えずにはいられなかった。
3年生がいなくなった後の部活の様子を想像できない。
昼休み。
私は何気なく教室の窓から中庭を見下ろした。
すると、ベンチに腰掛けている菅原先輩の姿をそこに見つける。
思わず、声が出た。
「菅原先輩!」
先輩は、いきなりの頭上からの声に驚いた様子だ。
ゆっくりとこちらを仰ぎ見る。
「菜月…」
「ちょっと!ちょっと待っててください!」
先輩にそう言い残して急いで教室を飛び出し、階段を降りる。
本人に直接聞いて確かめたかった。
菅原先輩はもう、バレー辞めちゃうんですか、と。
もちろん将来のこともあるため、無理に引き止めることなんてできないけれど、3年生は私達と春高への道を一緒に辿ってくれるものと勝手に思い込んでいた。
そう信じたかっただけなのかもしれない。
懸命に走って、菅原先輩のもとへたどり着いた。
少し息が切れてしまう。