第1章 出会い
二人の成り行きを固唾をのんで見守っていたから、菅原先輩に声をかけられていたのに全く気付かなかった。
「気になるのもわかるけど、早く片しな?皆もうほとんど帰ったよ。」
「あ、ご、ごめんなさい!菅原先輩もどうぞお先にあがってください!」
「こら。昨日俺が言ったこと忘れたのかー?送ってくって言ったろ。ほら、俺も手伝うからさ。」
「はい!ありがとうございます!ソッコーで片付けて着替えてまいります!!」
焦って残りの片付けを終わらせる私を見て菅原先輩が微笑んでいる。
菅原先輩って、誰にでもこんなに優しいのかな。もてるんだろうな。
勘違いしちゃう女子、たくさんいるんだろうな。
急いで動かす手はそのままに、頭の片隅ではそんなことを考えていた。
やっとのことで全て終わらせ、菅原先輩と学校を出た。
「本当におまたせしちゃってすみませんでした…」
「別に大丈夫。それより今日は色々大変だったなー。」
「そうですね。喧嘩のこともそうですけど個人的にも…初対面の月島くんに迷惑かけちゃったし。」
「月島に迷惑?」
「はい…私今日財布にお金入ってなくてお昼買うとき月島くんに……あ。」
説明している途中に気付いた。
お金って言えば……
「あー!!!」
「ど、どうした??」
「定期、教室に忘れてきました…」