第1章 出会い
練習が終わり、片付けを終える頃になって最後に命じられた10周を走り終わった二人が体育館に戻ってきた。
「…まったく、誰かさんのせいでとんだとばっちりだよ」
「ああ!?まだ言うかてめぇ!!」
また喧嘩が始まりそうな雰囲気になったけれど、大地さんの無言の圧力を感じ取った二人はそれ以上騒ぐことはなかった。
「お前らいいな、明日以降も同じ調子なら練習には参加させないからな。バレーは繋ぎが命なんだ。同じコートに入るやつらの心が繋がってなくてどうする!」
「おおー!大地さんかっけえー!!そうだぞお前ら、もういい加減にしとけよ!」
田中さんからも重ねて注意をくらう二人。
先輩たちの言うことは正しいし、そもそももめた二人が悪いんだけれど、何だか二人がかわいそうになってくる。
「わかりました、すみませんでした。」
月島くんが大地さんに頭を下げ、謝罪した。
不本意そうな表情ながらも、影山くんもそれに倣う。
「…すみませんでした。」
「わかればそれでよし。日向も影山と因縁があるみたいだけど、それは中学までの話だ。俺たちはもう仲間なんだ、昔のあれこれは言いっこ無しにしよう。」
はい、と二人が頷くと大地さんはにっと笑う。
「それじゃあ今日はあがってよし!」
「「お疲れ様でした!!」」
なんとか事が落ち着いたようで、ほっとする。
二人の関係が心配だけど……
「菜月、 おーい菜月 ?」
「は、はいい!!!」