第4章 変化
メニューに視線を落としつつ、私は自分の将来について考える。
進学してまで極めたい学問があるのかと言われたら微妙だし、だからといって高校卒業後、すぐに働き始める自分も想像できない。
でも、あと2年後には確実に答えを出さなければならないのだ。
それを思うと今から気が重かった。
「菜月さ。今、自分の進路のこと考えて気重くなってただろ?」
「え」
「すごい仏頂面してたぞ。」
「ほ、ほんとですか…」
思わず自分の顔に手をやる。
「まあまだあと2年もあるんだし、その間に見つかるかもしれないべ?やりたいこと。」
「そうだといいんですけど…」
「俺さ、親には申し訳ないけど、やりたいことを見つけるために進学ってのもありだと思うんだよな。新しいことをやることで、見えてくるものもあるだろうし。」
菅原先輩は、コップの水を一口飲んでから続ける。
「人生って長いから、絶対どっかで躓いたりってあると思うんだ。でも進学したって就職したって、間違えてたって思ったらやり直しがきかないなんてことはない。」
「………!」
「選ぶ前にどっちが正解かを考えるんじゃなくて、選んだ道が自分にとっての正解かを常に考えることのほうが大事なんじゃないかって…最近思う。」
真剣に語る菅原先輩を前に、つい呆然としてしまった。
話し終えた先輩は、ハッとしたように赤面する。