第4章 変化
近場の適当なファミレスに入った。
日曜日だけど、ランチタイムは過ぎていたのですぐに席に通された。
元気な子供の声が響く店内で、先輩は走り回る子どもたちに優しい眼差しを向けている。
「菅原先輩、子供好きなんですか?」
「ああ、うん。なんかさ、ファミレスとかで食事してる家族とか見ると、いいなあって思う。」
「先輩も将来絶対そうなれますって。」
「あ、約束してくれる?」
「え!!」
いたずらっぽく笑う先輩に、また負けた気分になる。
「俺もう3年だろ?だから将来の事とか頻繁に考えなくちゃならないんだよなあ。」
「そうですよね…進路とか、だいたい決まってるんですか?」
「うーん、とりあえず前から思ってたのは県内で進学することかな。家出るにしてもあんまり遠くに行くつもりはない。」
「何か思うところがあるんですか?」
「やっぱ、親孝行?ほら俺、孝支だし。孝行の孝に支える、で。」
そう言って、また先輩は笑う。
名は体を表すと言うけれど、先輩に関しては本当にその言葉がしっくりくる。
「結婚とかも県内の人とできれば、お互いの実家近いから安心だろ?」
「なんか…すごいですね。そこまで具体的に考えてるとか。私なんて進路って言ったら就職か進学かってことくらいで、とてもじゃないけどその先のことなんて想像つかないです。」
「はは、今は具体的に考えられる要素があるからな!現時点じゃ全部妄想だから女々しいけど。」
「具体的に考えられる要素って…」
「やっぱ、好きな子いると違うよ。」
「また、そういうこと…」
「だって本当のことだからさ。」