第4章 変化
その日の午後練で、清水先輩から突然ビデオカメラを手渡された。
近々、全校集会でインハイ予選を前に各部活を鼓舞するための壮行会が行われる。
その際に、練習風景などを編集したショートムービーを流すのだそうだ。
その撮影を私に頼みたいということだった。
「で、でも私、こういうのあんまり得意じゃ…」
「大丈夫。ほんとに短いムービーだから、適当に編集して繋げれば何とかなるから。」
他に仕事のあるらしい清水先輩は、それだけ言い残して自分の作業に入ってしまう。
ビデオカメラ片手に私は呆然とした。
あんまり得意ではないどころか、私は撮影全般が苦手だった。
たまに撮る写真や動画は、家族や友達に散々笑われるか話のネタにされるのがオチだ。
そんな私が撮影係で本当にいいのだろうか…
そう思いながら、コートにカメラを向ける。
ものの数秒で日向くんがカメラに気付き、こちらに駆け寄ってくる。
「うおーカメラだ!何撮ってんの?!」
「ん、壮行会で流すムービー。」
「まじか!じゃあ俺、撮って撮って!日向翔陽です!てっぺん目指します!!!」
「こらあ!日向ボケェ!何やってんだボケェ!はやく戻れ!」
影山くんに怒鳴られて、日向くんはしぶしぶコートへ戻っていく。
私は、それを見て苦笑する。