第4章 変化
“好き”の意味について考えるだけでショートしそうな私だから、答えを出すにはまだまだ時間がかかるかもしれない。
影山くんの申し出はありがたかった。
「あ、ありがとう…」
「でも最後には絶対俺を選べよ。他のやつとか、ありえねえからな!」
「あはは…」
「苦笑いすんな。」
そう言って、頭をコツンとされる。
「影山くん、自販機行くつもりだったんじゃないの?戻ろう。」
「ああ。」
影山くんが買ったのはやっぱり牛乳だった。
ストローを咥えて、あっという間に飲み干す彼を見て、思わず笑みがこぼれる。
「…なんだよ。」
「ううん。影山くんは一途だなあと思って。」
大きくなるといいね。
私がそう言うと、ガキみたいに言うな、と言って影山くんは照れたように私から視線をそらす。
「菜月のことも…絶対諦めねえからな。」
そらした視線はそのままで影山くんが呟いた言葉に、今度は私が赤くなる。
答えはまだまだ出そうにないけれど、そのうち私にも分かる日が来るのかな。
そんなことを考えながら、影山くんと教室へ戻った。