第4章 変化
昼休みの喧騒の中、自販機周辺は人気がなかった。
適当な飲み物を選んでボタンを押し、出てきた紙パックにストローを通す。
ストローを咥えて教室への道を戻ろうと踵を返したとき、こちらに向かってくる影山くんと目が合った。
「いっ……!!」
思考の外に追いやろうとしていた人物が目の前からやってくる。
思わず、影山くんに背を向けて教室には遠回りになる反対方向へと進んでしまう。
私の突然の進路変更に気付いた影山くんが、怒鳴って後ろから追いかけてきた。
「人の顔見て逃げんじゃねえよ!!」
前に回りこまれて、私は観念する。
「ご、ごめん…なんかつい…」
「…昨日は、悪かったな。」
影山くんにそう素直に謝られて、何だか面食らってしまった。
「菅原さんと同じこと言うのは癪だけどよ…俺も、待ってるから。」
「えっ…」
「お前の気持ち、固まるまで待ってる。」
真剣な表情で、影山くんはそう言った。