第4章 変化
試合は結果から言うと烏野の圧勝だった。
いつに無く、やる気を見せた月島くんのブロックやスパイクが好調だったのと、何より影山くんのトスワークがいつにも増してキレキレだった。
相手のブロックを全く機能させないトス回しで完全フリーのスパイクを何本も決めさせ、相手チームの心をへし折った。
烏野には遠く及ばなかったものの、問題の彼は1年にしてレギュラーに入っており、なかなかのプレーを見せていた。
私には何だかそれが意外で、つい試合中は中学のときのことを忘れてしまいそうになった。
試合が終わったあと、簡単に片付けをしようと倉庫へ向かおうとしたところで、私にとっては嫌な懐かしさを孕む声で呼び止められた。
「水沢さん。」
「!!!」
思わず肩が縮む。
ゆっくり振り返ると、彼が私の苦手な笑顔を浮かべて立っていた。
「話すのは久しぶりだね。」
「そ、そうだ…ね。」
話すのは久しぶり?
彼のことを疑っているからどうしても言葉のひとつひとつにまで怪しさを感じてしまう。
そう感じたのは、やはり間違いではなかったと、彼からの次の言葉で私は思い知った。