第4章 変化
その日の午後練で、急遽、明日に練習試合が烏野で行われることになったと発表があった。
相手は例の近場の進学校。
距離が距離なので、授業が終わってからでも充分な時間の余裕があるということで決まったようだった。
相手がその学校だと聞いて、中学時代の問題の彼のことを思い出した私は正直いい気はしなかったけど、別にあの人が来るわけじゃないんだからと自分に言い聞かせた。
しかし。
運命は、かくも残酷なものである。
次の日、体育館へと入ってきた相手チームの中に、問題の彼の顔を見つけてしまったのだ。
恐怖に背筋が凍って、思わず近くにいた月島くんの後ろに隠れてしまった。
「何、あいつがどうかしたの。」
私の視線を追いかけていたのか、月島くんは私が恐れた相手がどの男子なのか分かっている様子だった。
理由を説明すると、月島くんは彼のことを睨みつけてから私に声をかける。
「まだ確証はないんだからあんまり派手なことはできないけどさ…まずは試合でブチのめすしかないよね。」
いつに無く、月島くんが燃えている。
「あいつが犯人なんだとしたら、当然菜月がここにいることも知ってるだろうし、大して意味ないかもしれないけどあんまり目立つことはしないでおきなよ。」
「う、うん…」
月島くんがすごく頼りになって私の心は一時、安寧を取り戻した。