第4章 変化
月島くんは坂ノ下で買い物をしなかったから、本当に私に渡すためだけに来てくれたようだ。
でも、何だかんだでそれを素直に言えないところが月島くんらしい。
影山くんも素直じゃないけれど、月島くんはそれに輪をかけて素直じゃない気がする。
「………ねえ。」
「ん、何?」
「何かさ、視線感じない?」
「え?!」
月島くんの言葉に、背筋が一瞬にして凍った。
「う…嘘、また…?」
「またって…最近よくあるわけ?」
「うん…ちょっと前に気付いたんだけど、いつからかは分からなくて。」
「君、鈍そうだからもし本当に見られてるなら結構前からなのかもしれないね。」
「ええ!そんな、怖いこと言わないでよ!」
月島くんは冷静に辺りを窺っている。
「だってさ。手馴れてなきゃこんなにうまく隠れられないと思わない?」
確かにそうだ。
昨日と一昨日は夜だったから、そこまで気にしなかったけど今は真っ昼間だ。
怪しい人がいればすぐにでも分かりそうなものなのに。
「…とりあえず、僕の側から離れないで。」
月島くんは、そうぼそっと呟いた。