第4章 変化
そう思い、再び上り坂を見やると、坂道をおりてくる月島くんと目が合った。
「菜月…。やっぱここにいた。」
「あ…月島くんも買い物?」
その質問への返答のかわりに月島くんが私に押し付けてきたのは、私の制服のブレザーだった。
「あのさ…制服の落し物とか聞いたことないんだけど。」
「あー!!!ありがとうー!!!今ないのに気付いて焦ってたんだー。」
「まったく…ほんとどうしようもないよね、君。」
月島くんは、お昼休みに外の自販機まで飲み物を買いに来ていたらしい。
そこで、慌てて自転車で校門を出て行く私と、前カゴからブレザーが落ちる瞬間を目撃した。
「でもなんでわざわざ…学校で渡してくれたら月島くんここまで来なくても良かったのに。」
「君のことだから、失くしたのに気付いたらパニックになって探し回ってなかなか帰ってこないだろうと思ったから。それなら行ったほうがはやいじゃん。」
「そ、そっか…本当にありがとうね。月島くんにも助けてもらってばっかりだね。」
「…別に。女子のブレザー持ってウロウロしてるの見られるのが嫌で早く渡したかっただけだから。」
ほら、行くよ。
そう促されて、二人で学校への道を戻る。