第4章 変化
「ええ?!忘れた!?」
教室に響き渡る友達の声。
今日、私は大変な忘れ物をしてしまった。
「まあー…大丈夫じゃない?昼休み、坂ノ下まで買いにいけばさ。」
「そうだよ!良かったじゃん買いにいけるとこあって。」
「うん…ほんとごめん…」
今日の午後の授業は家庭科の調理実習が入っていて、各自担当の食材を持ち寄ることになっていた。
のだけれど…私はそれを完全に失念していた。
「私のチャリ貸してあげるから、かっ飛ばして買ってきな!」
「うわーん、ありがとうー」
優しい友達の自転車を借り、私は昼休みになった途端に学校の外へと飛び出した。
坂ノ下商店は学校から近いので、そんなに焦らなくても昼休みの間に行き来できる。
購買の商品に飽きた生徒が、わざわざ昼休みに坂ノ下までお昼を買いに行ったりすることもあるほどだ。
それでも、責任を感じているため、少しでも早く用事を済ませて安心したかった。
自転車置き場まで全力疾走したので、もう汗をかきそうだった。
制服のブレザーを脱いで自転車の前カゴに引っ掛け、私はペダルにかけた足に力を込めた。
学校から坂ノ下は下り坂なので行きは楽である。
あっという間に到着した。
商店の引き戸を開ける。