第4章 変化
そう思っていたら、またふいに暗闇から視線を感じた。
思わず、不穏な空気を感じた方を振り返る。
やはり、昨日と同じで視線の正体はつかめない。
それでも、今日は確信した。
絶対に誰かに見られていると。
「どうした?」
菅原先輩が私の異変に気付く。
「い、いや、なんでも…」
「何でもなくないだろ、顔強張ってるぞ。言ってみ?」
菅原先輩に言うと、また気を遣わせるからと思ったけど恐怖感には勝てなかった。
「…なんだよそれ。何か心当たりないの?」
「もしかしたらってぐらいのはあるんですけど…」
中学の時、断っても断っても、しつこく追いかけてくるクラスメイトがいた。
私は粘着質なその男子に辟易し、最後の方は半ば無視するような形でそのまま卒業となった。
烏野にはかなり近距離にもうひとつ高校がある。
県内でも有数のその進学校に彼は入学したと聞いた。
先ほどの視線で確信を得てから、私は彼のことが頭から離れなくなっていた。
本当にそうだったら、どうしよう。