第4章 変化
「ありがとね、うち、あそこなんだ。」
そう言って家の方向を示す。
「そうか。じゃあもう平気だな。」
影山くんはさっきから鋭い目付きで周りに気を配っている。
私が余計なことを言ったから不審人物を気にしてくれているようだった。
「影山くんも気をつけて帰ってね。」
「ああ、また明日。」
影山くんを見送ったところで自宅に向き直ると、そこには玄関前に出てきているお母さんの姿があった。
「お、お母さん…」
「菜月…お母さん、男の子をとっかえひっかえするような子にあなたを育てた覚えはないわよー!」
菅原くんはどうしたのよー!と騒ぐお母さんを宥めつつ、家に入る。
リビングに向かう中、影山くんとは別にそういう関係じゃないと説明するのに、また物凄く時間がかかるのだろうなと、ひとり苦笑した。