第4章 変化
影山くんに引っ張って連れてこられたのは、ドーナツ屋さんだった。
何だか意外で、場所間違えてない?と何度も聞いたら、うるせえなと一喝されてしまった。
「お前のおかげでテストもだいたい何とかなったし…そのお礼だ。今日はちゃんと奢らせろよ。」
「ほ、ほんとに!えー、嬉しい!ありがとう。」
「ドーナツ好きか?」
「すごく!!!!」
「やっぱりな…」
影山くんが、ほらよと言って私にトレーを渡してくる。
ショーケースの中のドーナツたちを見て心が踊った。
「い…いくつ…?」
「あ?」
「いくつまでOK?」
「…知らねえよ!食いたいだけ食えばいいだろ!」
「やったー!」
トングを構えてショーケースに相対すると、隣の影山くんが一言。
「あんまり食うと太るぞ。」
「な、何故今そういうことを…食べさせたいのか食べさせたくないのかどっちなのよ」
「食ったあとに後悔されても嫌だから言っただけだろ。」
「そっか、ありがとね。」