第4章 変化
影山くんを可愛く感じて、思わず少し笑ってしまった。
それに気付いたのか影山くんが振り返る。
「おい、何笑ってんだよ」
「え、いやあのこれは」
「人が真剣に話してる時に…!」
そう言って私の両頬はつままれる。
「い、痛いよ影山くん〜」
「………」
手が離されたと思ったら、目の前の影山くんは笑っていた。
「…今の顔見たら怒る気、失せた。」
「そ、それは良かった…」
「ちょっとこれから付き合えよ。」
「え?今から?」
「心配すんな、帰りはちゃんと送ってくから。」
「いや、別にそれは大丈夫だけど…」
「ほら、行くぞ。」
今度は、ふんわり手を握られた。
優しい感触にドキッとする。
影山くんってこんな手の握り方もできるんだ…
そう思ってドギマギしていると、いきなり思い切り引っ張られた。
思わず前につんのめりそうになる。
その落差に、心臓が揺さぶられる。
こうして、どこへ向かうかも分からないまま私は影山くんに引っ張られ続けるのだった。