第4章 変化
次の瞬間、私は西谷先輩に落下物から守られて、床にその身を横たえていた。
西谷先輩が私に覆いかぶさって助けてくれたのだ。
「大丈夫か?!」
真剣な表情でそう聞かれた。
「は、はい。すいませんでした…」
状況が状況だったので仕方ないのだけど、今、西谷先輩に押し倒されている形なので、恥ずかしくて先輩の顔がよく見られなかった。
視線をそらして、顔を横に向けた。
そこで、私の息は止まった。
視線を向けた方向、私のすぐ隣にGも倒れていたからだった。
「きゃーーーーー!!!」
半泣きになって叫ぶ。
その時、部室のドアが開いた。
「どうした?!大丈夫か!」
顔を出したのは田中先輩だった。床に寝転んだまま、田中先輩と目が合う。
「の…ノヤ、てめええええ!そういうやつだとは思わなかったぞ!!!」
「あ?何言ってんだ龍…」
「ちーす…何か今叫び声聞こえたんすけど…」
田中先輩の後に顔を出したのは影山くんだった。
影山くんは、私と西谷先輩の様子を見て一瞬固まったあと、すぐに黒いオーラを充満させ始めた。
「何…してんすか西谷さん」
「うわああ、影山!こ、これは誤解なんだって!不測の事態があってだなあ!」
「ふーん、不測の事態って?ちゃんと説明してもらわなきゃな。」
影山くんの後に部室に入ってきた菅原先輩は、笑顔だった。
でも、何となくいつもの笑顔じゃない。
雰囲気が怖かった。
西谷先輩は私の上で体を起こし、立ち上がった。
「スガさんまでそんなこと…誤解っすよ!ほら見てくださいこれ!」
西谷先輩の言葉で、私は隣に倒れている天敵の存在を思い出す。
即座に起き上がって皆を押しのけて部室から出る。
怖い怖い怖い怖い…!