• テキストサイズ

【HQ】春が始まる。(烏野逆ハー)

第4章 変化




「こんなことした後で言っても、全然説得力ないかもしれないけど…」



私は、先輩の声に、俯いていた顔を上げる。



「俺、菜月のこと大事にするよ。影山や、他のやつらより絶対。だから……」



先輩に両手を包み込まれた。
いつも私を撫でてくれる優しい手だ。



「俺を選んでくれないかな。」



真剣な目に見つめられて、すぐに言葉が出てこない。



先輩に包まれた手の中で、私は自分の手を固く握りしめた。



自分の素直な気持ちを言おう。





「菅原先輩の彼女さんになる人は…とっても幸せになれると思います。でも…」



私が逆接を使ったので、先輩は表情を曇らせた。
胸が痛んだけれど、言葉を続ける。



「好きって気持ちがどういうものかもきちんとわからない間は、私、菅原先輩の気持ちに応えられません…だって、そんなの先輩に失礼すぎる。」



真剣な気持ちをぶつけてくれた相手に、曖昧な気持ちで返すわけにはいかない。



先輩が私を特別に思ってくれたことは本当に嬉しいけれど、私はそういう意味においてまだまだ子供だった。



「だから…」



ごめんなさい。
そう言おうとしたけれど、先輩の言葉によって遮られた。


/ 767ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp