第4章 変化
「こんなことした後で言っても、全然説得力ないかもしれないけど…」
私は、先輩の声に、俯いていた顔を上げる。
「俺、菜月のこと大事にするよ。影山や、他のやつらより絶対。だから……」
先輩に両手を包み込まれた。
いつも私を撫でてくれる優しい手だ。
「俺を選んでくれないかな。」
真剣な目に見つめられて、すぐに言葉が出てこない。
先輩に包まれた手の中で、私は自分の手を固く握りしめた。
自分の素直な気持ちを言おう。
「菅原先輩の彼女さんになる人は…とっても幸せになれると思います。でも…」
私が逆接を使ったので、先輩は表情を曇らせた。
胸が痛んだけれど、言葉を続ける。
「好きって気持ちがどういうものかもきちんとわからない間は、私、菅原先輩の気持ちに応えられません…だって、そんなの先輩に失礼すぎる。」
真剣な気持ちをぶつけてくれた相手に、曖昧な気持ちで返すわけにはいかない。
先輩が私を特別に思ってくれたことは本当に嬉しいけれど、私はそういう意味においてまだまだ子供だった。
「だから…」
ごめんなさい。
そう言おうとしたけれど、先輩の言葉によって遮られた。