第4章 変化
もう本当にどうしたらいいかわからなくなっていると、ちゅ、と音を立てて名残惜しそうに先輩の唇が離れた。
私の上で体を起こした先輩は、男の人に言うのはおかしいかもしれないけれど、とても色っぽかった。
「…びっくりした?」
静かに先輩はそう問いかけてきた。
かろうじてコクンと首を縦に振り、それに答える。
すると、先輩は困ったように笑って口を開いた。
「…俺さ、菜月が思うほど優しくないよ。」
「え…」
「ごめんな、怖かったよな。」
そう言って私に手を差し伸べてくれる。
その手に頼って、私は体を起こした。
先輩は、私から視線をそらし、自分の行動を責めるような辛そうな表情をしていた。
菅原先輩、そんな顔しないで。
俺は優しくないなんて言わないで。
私は、出会ってから今まで、どれだけあなたに優しくしてもらったかわからない。
「…菅原先輩は、先輩自身がどう思っていたとしても私にとっては優しい人です。」
「そんなにこっち見るなよ…続き、したくなっちゃうだろ。」
「え…」
そう言って先輩は口元を手で覆った。
先輩の言葉に、また体が反応して固まってしまう。
それを見た先輩は、顔を真っ赤にしていつもより大きな声を出した。
「じょ、冗談だよ!これ以上お前の同意もなしに続けたら俺、犯罪者になっちゃうだろ!」
二人で顔を真っ赤にして俯いた。
しばらく沈黙が続く。
また、先輩が静かに口を開いた。