第1章 出会い
菅原先輩に教えてもらいながら、練習の準備を進めているうちに皆も続々と登校してきた。
「おはよう 水沢さーんっ!!! 」
「あ、おはよう日向くん!」
「日向おはよー」
「あ…菅原さん…お、おはよーございますっ//」
菅原先輩に挨拶された日向くんは何故か私と先輩を見比べて顔を赤くしている。
「日向ー!お前は顔に出すぎなんだよ!」
「うわああっ!!たっ…田中さん!だって…」
日向くんの背後からこっそりやってきた田中先輩が日向くんを羽交い締めにして頭をぐしゃぐしゃする。
「なんだよ、昨日俺と 菜月が一緒に帰ったから意識してるのかー? 」
「えっえー!菅原さん、な、名前で呼んでる…」
「さすがスガさん…手が早」
「だから誤解を招く言い方をするなと昨日も言ったろ田中…!」
「うわあああ大地さん!!」
静かに現れた大地さんが田中先輩を恐ろしい目で見ている。
そんな田中先輩を尻目に日向くんが口を開いた。
「ねぇっ 水沢 さん!俺も名前で呼んでもいい?」
「あっ翔陽!俺の居ぬ間に何たる抜け駆け!!俺も1年ガールを名前で呼ぶぞ!! 菜月〜!! 」
「ノヤっさん!」
西谷先輩が登校してきて更ににぎやかになった。
日向くんの西谷先輩の呼び方がノヤっさんに変わっていて、昨日あのあと更に仲良くなったんだなあということを想像させた。
二人は兄弟みたいに息があっていて、じゃれあっている姿が何だか可愛い。
「どうぞどうぞ、好きなように呼んでください。」
「おおっやったー!じゃあ俺、着替えてくるー!」
「よし、行くぞ翔陽〜!!」
二人がいなくなると嵐が過ぎ去ったように静かになる。
すると、少し離れたところからの視線に気付いた。