第1章 出会い
「いやー、実はさ影山。」
「…はい。」
「俺達付き合うことになってさ。」
「「?!?!」」
思わず影山くんと二人固まってしまう。
昨日そういうことになったんだっけ?!
ぐるぐると思考を巡らせていると、目の前から楽しそうな笑い声。
「あはは、冗談だって。二人ともそんなに驚くなよー。ちょっと影山をからかってみただけだから。」
「も、もう菅原先輩!」
「……。」
「悪い悪い。あ、 菜月 。もうひとつボールの籠出してきてくれるか!倉庫にあるからすぐわかると思うから」
「はーい、わかりました。」
ボールを取りに私は倉庫へと向かう。
その途中、菅原先輩と影山くんが何か話しているのが聞こえたけど、内容までは聞き取れなかった。
「なあ影山。」
「…ウス。」
「さっきのは冗談だけど、俺、あれ本当のことにするつもりだから。」
「えっ…」
「宣戦布告な!」
「ボールおまたせしました〜」
キャスターのついたボールの籠は、本当にすぐ見つかって時間をかけずに持ってくることができた。
「サンキュ!よっしゃ、じゃあ今日も練習頑張るべ!」
この短い時間の間に菅原先輩がより元気になったような気がするのは気のせいだろうか。
少し不思議に思ったけれど、考えるのはそれくらいにして、何か他にも手伝えることがないか探すことにした。
…でも結局、影山くんが何を言おうとしていたのか聞きそびれちゃったな。